仕事を辞めてから、石巻を代表する企業の社長と話をする機会をいただきました。

多数の事業を展開する発想力と行動力。

その根底にあるのは、「まちのために」という思いだといいます。

そんな社長が、石巻の現状を「ゆでガエル」と表現しました。

緩やかな環境の変化や危険に気づかないまま、対応が遅れて、やがて致命傷になってしまう。

ここ数年に限った話ではありません。

それでも「まちのため」を実現するために、客観的に現状を見て、具体的なビジョンを描き、実際に行動している姿はとても魅力的でした。

石巻をあきらめるな!

そんな「ゆで上がったまち」で、自分がやりたい仕事なんてあるのだろうか。

そんなことを考えながら、今度は石巻が大好きな先輩と話をしました。

若い人たちが仙台を中心とした都会へ出ていく状況について話していると、

「石巻を諦めないでほしい」

という真剣な言葉がありました。

先輩は本当に、このまちのことを考えているんだなと思いました。

私は日々の何気なく続く生活のなかで、「石巻を諦めた」と思ったことはありません。

でも逆に、

「このまちの未来に、希望を感じているか」

と聞かれたら、即答できるわけでもありません。

もし、そんな空気が令和の石巻にあるのだとすれば、なかなか厳しい状況なのだと思います。

人がいない

仕事を探してみると、特に賃金については、地方だからという理由で諦めざるを得ない条件や状況を実感します。(もちろん、年齢もありますが。)

東京では情報通信、金融、不動産、専門サービスなど、生産性の高いサービス産業への雇用シフトが進んでいる一方、地方ではそうした産業構造の高度化が十分に進んでいないという指摘もあります。

東京と地方で広がる生産性格差 ―「集積の経済」で高度化する東京、最低賃金に影響も―
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=111695

そんな影響を受けるなか、地域の企業から聞こえてくるのは、

「人がいない」

「社員が足りない」

という声。

日々の生活の中でも聞こえてくる声ではありますが、離職中の私からすると不思議な話でもあります。

働く場所を探している人がいる。

働く人を探している企業もいる。

なのに、なかなか一致しない。

人口減少によって地域の労働力そのものが減り、いよいよ企業の生産性にも影響を及ぼし始めているように感じます。

やりたいのに、人がいなくてやれない

人が足りなければ、企業は事業規模を小さくすることで対応できます。

でも、それだけでは生産性の問題は解決しません。

むしろ、

「やりたいことがあるのに、人がいなくてやれない」

という状況が慢性化していく。

新しい商品を作りたい。

情報発信を強化したい。

営業したい。

デジタル化したい。

新しいサービスを始めたい。

でも、日々の業務を回すだけで精いっぱい。

その結果、将来のために必要な「攻め」の仕事が後回しになる。

そして、さらに追い込まれていく。

東日本大震災、コロナ禍を経て、全国に先駆けるように人口減少が進む東北では、これから労働力不足による生産性への影響が、ますます大きな問題になっていくのかもしれません。

人口減少率ワーストの秋田は5年で8.1%減少 増加は東京と沖縄のみ 総務省 【都道府県別人口増減率データ掲載】
https://www.fnn.jp/articles/-/1051866

石巻も例外ではなく「ゆでガエル」という言葉が気になったのは、そのためです。

急激な変化なら、人は危機に気づきます。

でも、毎年少しずつ人が減り、少しずつ働く人が減り、少しずつできないことが増えていく。

その変化には、なかなか気づきません。

では、人が減ることを止められないとしても、別の方法はないのでしょうか。 そんなことを考えているうちに、「仕事を探す」こととは少し違う方向を考えるようになりました。

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